第27回九州ブロック宮崎大会に参加しました


宮崎の断酒会員や家族の皆様いろいろとお世話になりました。ありがとうございました。 今回も得るものがたくさんの大会でした。

来賓で来られていた宮崎の細見クリニック比江島先生の挨拶を聴かせていただきました。比江島先生のお話から、この先生は、断酒会を仲間と思ってくださっているんだなと感じてうれしく思いました。思わず、控え室まで押しかけて、「kazokuちゃん」の冊子を贈呈させていただきました。

また、3月まで全断連の事務局でお仕事をしてくださっていた直江さんにもお会いできました。4月から何かをやろうとしているというお話は何となく聞いていましたが、何の活動をされているのかとても関心がありましたので、思いきって聞いてみました。

今、フリーで、聴く事、傾聴について研修や講演をしているようです。すでに、岡山の津山と広島のふたばの断酒会で研修を行ったとの事。

人間関係学会で高知に来てましたというお話も聞きました。「人間関係学会」「傾聴」何だかとても興味があります。直江さんから、聴くっていうことは本当はどういうことなのかぜひ、学びたいと思いました。楽しみにしています。

講演は、藤田先生です。兵庫県で藤田修美相談室長をされているとのことです。演題は「家族とアルコール依存症」でした。夫が以前から、藤田先生の話を聞いてとてもよかったと言っていたので、いつか藤田先生の話を聴きたいと思っていました。

先生の話は漫談のようにおもしろく、そして、分かりやすく、1時間笑いの絶えない講演でした。午後の講演は、とかく眠たくなります(笑)。でも、藤田先生のお話は、愉しくて、時間があっという間にたちました。

藤田先生の講演内容を簡単に紹介します。

~藤田先生講演より~


最初から専門医へいった人は、ラッキー。


専門病院へ行くと、まず、病気の正体を知ることができ、病気についての知識を得ることが出来る。(全国にアルコール依存症者は、男性72万人、女性8万人います。予備軍となると男性367万人、女性73万人います。)


(アルコール依存症者になる過程)


量が増えてくる
  ↓
お金の問題、仕事に集中できない
  ↓
お酒を止めにくい状態になる
(アルコール依存のレールにのってくる)
  ↓
頭では、これ以上飲んではいけないと思うが、身体が要求する。
  ↓
お酒の量や、お酒を飲む時間をコントロールできない
  ↓
アルコール依存症になる


家族は、最初、病気とは思わないので、髪を振り乱して、お酒をやめて欲しいと訴える。「私がお酒を止めさせる。」「私が、飲ませないようにする。」と思うが、治療が必要とは思わない。家族も、本人も何が真実か分からなくなる。そして、子どもは、家族や本人の両方を見ている。


家族がまず、「病気」と気がつくことで、新しいスタートができる。
家族が断酒会や病院につながるとアルコール依存症について、知ることができる。


「アルコール依存症」ということについて、みんな知ってはいるが、それは、正しい知識ではないことが多い。


家族は、本人のことを「だらしない」「いい加減」「酒好き」と思っていたのが、それは病気だからと理解する。理解した時、家族の肩の荷が下がる。そして、本人が「もうダメだ」と思った時、医療につなげることができる。


(断酒会につながってからの過程)


3ヶ月入院して、解毒はできた。でも、それは、ゴールではない。そこからが本当の回復のスタートである。


本人が断酒をはじめると、飲んでなくても、例えば家事のことやいろいろなことに口を出したり文句を言ったりすることがある。そこで、大事なのは家族会である。


家族も「1日断酒が当たり前」と思ったらダメ。今日、飲まずに1日断酒してくれるかが大事。1日断酒で100点と思うこと。1日断酒に慣れてはいけない。


しかし、家族の心の中には、いろいろな思いがある。それを溜めてはいけない。そこで、家族会で自分の心の中にあるものを少しずつ口に出していく。すると、心の中にあった石が小さくなってくる。すると、耳から入ってきた言葉が分かり出す。


家族には、例会と家族会の両方が大事。


「家族は病気」というが、本人が飲んでいる時は、家族も考え方や行動がいびつになってくる。考え方や行動のくせ、これを元へ戻さないといけない。本人も家族も回復しないと子どもがかわいそう。


子どもから見ると、お酒を飲んでいるお父さんについては、病気と分かるが、お母さんについては、病気と分からない。だから、断酒をはじめると、子どもから見ると、「お父さんは、よくなっているが、お母さんは変わらない」と言う事がある。その時、「あんたらあのために、お母さんはギャーギャー言っていたんや。」とは、言わないこと。「子どもはその時、そう思っていたんやね。」「さびしかったし、つらかったんやな。」と気付いてあげることが大事。いつか、「お母さん大変やったんやな。」と言う時が来る。

断酒会につながっている本人が飲んでいることは、家族にとってはつらいこと。家族会は本人の断酒歴を競うところではない。本人と家族は分けること。


本人も家族もお互いが感謝の気持ちを口に出さないとダメ。家の中が和やかになると生活を取り戻すことが出来る。


人は、すぐに、よその人と比べる。自分と人を比べることは意味がない。過去の自分と今の自分を比べることが大事。子どももそう。よその子どもと比べても意味がない。


普通のことを感謝する事が大事。今生きていることを感謝する。普通を保障されていると思い過ぎ。自分も相手にも感謝をする。そうすると、幸せを自分に引き寄せる力となる。


人の話を聞く、挨拶をする、感謝する これを続けることで、人間として十分生きていける。


子どもは、周りの人の真似をし続けて、言葉を覚えたり、行動を学んだり、人間になり続ける生き物である。断酒会では、人の行動の真似をすることで人間を回復させる機会となる。出会い、気付きによって、影響を受け合い人として育っていく。


家族は、飲んでいるか、飲んでいないかに関心を持ってしまうが、それにばかりこだわると家族自身の生活を取り戻せない。回復とは生活を取り戻すことである。


生きがいが必要。ちょっと人の役に立っている。生きているっていいなあと思えるといい。


昨年度の自殺者は、31700人。一週間に608人が死んでいること。その問題にアルコールが大きくかかわっている。31700人のうち、6700人はアルコールが関係している。未遂者を入れるとすごい数になる。


正しいアルコール医療につながってほしい。一人の自殺者の周りには、何人も傷つく人がいる。


助けてもらったら、今度は助ける方に。それが生きがいにつながっていくのではないか。


生まれてきたからには、幸せにならなくてはいけない。


当たり前のことに感謝し、もっともっとと思わない。


断酒会は、「大人の学校」人間性を回復するために参加する。


ものの見方を変えると楽になる。白か黒かではなく、ゴムのように。幅広く。それが、大人の妙味。


自分の欠点を周りは受け容れてくれている。自分も相手の欠点を受け容れること。




藤田先生の言葉、

「自分の欠点を周りは受け容れてくれている。自分も相手の欠点を受け容れること。」


「自分と人を比べることは意味がない。過去の自分と今の自分を比べることが大事。」

がとても心に響きました。すぐに、人と比べる、自分のことは棚に置き、人の批判ばかりする私は、時々、自分の思い癖が出たら、藤田先生の言葉を思い出します。