東京アピールに向けて

以下の文章は全国薬物依存症者家族連合会(薬家連)に全文が掲載されていますが、こちらにも掲載させて頂きます。

1.アルコール・薬物依存症は、周囲や家族に深刻な悪影響を与えます。
2003年の厚生労働科学研究によると、アルコール依存症が疑われる者の数が、約400万人であったのに対し、飲酒のために何らかの被害をこうむった方は3000万人以上、生き方に影響を受けた方が1400万人が存在したと推定されています。また、そのうちの約半数は家族でした。薬物については、2005年の全国住民調査で違法性薬物使用2.1%、誘われた経験4.2%と報告されましたが潜在数が多く、数理研究所の推計では覚醒剤使用は200万人以上に上るとされます。薬物事犯の再犯率は50%を超えており、その依存性は深刻です。アルコール・薬物問題を持つ者の家族に対する2009年の調査研究によると、薬物依存症の家族は、薬物問題に関わり始めて、うつや不安になった人は67%、精神科治療に通うようになった人が17%いました。

2.アルコール・薬物問題を持つ者の家族が最も心を痛めていることの1つは、周囲や社会から偏見にさらされていることです。依存症は、人柄や犯罪の問題としてのみ認識され、回復可能である疾病と理解されていません。家族は、本人からのストレスと社会の偏見の板挟みで苦しんでいます。

3.ひとたび家族が問題を認識しても、相談先に関する情報が乏しく、実際に相談できる機関も不足しています。相談に行っても適切な対応してもらえません。家族は往々にして、相談先のたらい回しにあってしまいます。

4.アルコール・薬物依存症者の回復・自立には、長期の援助が必要であり、その間の生活や医療やリハビリテーションに関する経済的援助が必要であり、その間の生活や医療やリハビリテーションに関する経済的援助について家族に大きな負担がかかっています。

5.アルコール・薬物関連問題の被害者の多くも家族です。例えば、家庭内暴力・児童虐待の主な原因の1つは、アルコール・薬物であることが指摘されています。昨今、大きな問題となっている自殺もアルコール・薬物問題が引き金となっていることが多く、自殺により家族は深刻な喪失を経験します。

6.アルコール・薬物問題は世代を超えて、影響を及ぼします。この問題を持つ家庭で育つ児童は、対人関係上の問題、アルコール・薬物問題、情緒的問題などを起こしやすいことがわかっています。

以上の家族が直面している現状を踏まえて、以下の事項を国・社会に対してアピールします。

(東京アピールに続く)